このビールはこんな感じ!
・グレープジュースを飲んでいるかのような不思議なビール
・コクと甘みが好きなビールファンにおススメ
・爽快感・飲みやすさを重視するひとには不向き
・メキシコの高級ブランド「ボヘミア」
¡Hola!(オラ!)
本日の一杯はメキシコから大手ビール会社「ハイネケン・メキシコ」から「ボヘミア ピルスナー」をご紹介します。
メキシコビールのフラッグシップブランドとして知られているボヘミア。
ブランドの出発点となったピルスナーをレビューしていきます!
もくじ
ボヘミア ピルスナー 基本スペックとおススメできるひと
価格帯
☆☆ 300円-500円レンジ
入手難易度
☆☆ 海外ビールに強いショップで入手可能
アルコール度
4.9%
タイプ
ピルスナー
ボヘミア ピルスナーの味わい
- グレープジュースの匂い
- 全体的に水のような飲み口
- 舌に甘みがしばらく続く
- 飲み終わりがグレープジュースの風味
テイスト分布図
参考
数値について
▶あっさり:4.5 ☞ごくごく飲める
▶濃厚さ :2.0 ☞甘みからくるコク
▶苦み :2.5 ☞日本大衆ビール並み
▶酸味 :2.0 ☞やや控えめ
▶甘み :3.0 ☞グレープ的甘み
こんな方におすすめ
- 甘めのビールでも美味しく飲めるひと
- メキシコのビールに興味があるひと
- コロナビールよりコクのあるビールを飲みたいひと
こんなシチュエーションで
- ぐいぐいビールを飲みたい気分に
- 暑い季節に
- 食中のお酒として
グレープジュースを思わせる不思議な味わいの[ボヘミア ピルスナー]
皆さんはメキシコと聞いてどんなビールを思い起こしますか?
世界的にMade In Mexicoと言えば本サイトでもご紹介した「コロナ エクストラ」ではないでしょうか?
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【レビュー】メキシコ コロナ エクストラ:味の特徴とこんなひとにオススメ!
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コロナを製造している「モデロ社」はベルギーに拠点を置く超世界企業グループ「ABインベブ」の傘下に入っています。
対して今回ご紹介するのはモデロ社のほかにメキシコを代表するもう1社、「ハイネケン・メキシコ(旧:クアウテモックモクテスマ醸造所)」が製造・販売するブランド「ボヘミア」のピルスナーです。
皆さんもご存知のオランダを代表する超世界企業グループ「ハイネケン」。
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【レビュー】オランダ ハイネケン:味の特徴とこんなひとにオススメ!
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日本でいえば、アサヒビールとキリンビールぐらいの超大手同士の熾烈な市場シェア争いがされている(であろう)のですが
ボヘミアシリーズを製造しているハイネケン・メキシコではモデロ社に劣らず多種多様なブランドを抱えています👇
※ハイネケン・メキシコの所有するブランド
左から
テカテ ボヘミア ソル ドスエキス カルタブランカ
数あるラインナップの中で「本格的ピルスナー」として、高級ブランド路線にあるのがボヘミアです。
ピルスナーというビールスタイルを世に繰り出した国「チェコ」の旧呼称でもあるボヘミアを冠するこのシリーズは1905年に誕生してから100年以上愛され続けている名ブランド。
アメリカンラガーに代表される軽口テイストが主流ななかでボヘミアは確かにコクを感じさせる本格的なビール。
ただ、管理人の鼻と舌で2回テイスティングしてみましたが、印象に残っているのはグレープの風味。
鼻を近づけると甘く芳しいグレープ。
口に含んでみてもグレープジュースを飲んでいるかのようなグレープ感。
ただ、メキシコのビールらしい水のようにスッキリした飲み口と、じわっとした苦みは「コロナ」や「モデロ エスペシャル」に通じるものを感じました。
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【レビュー】メキシコ モデロ エスペシャル:味の特徴とこんなひとにオススメ!
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個性的なテイストのため、ドイツビールのように本格的なビールを求めているひとには向いていません。
メキシコに思い入れのあるひと、ちょっとグレープ風味なビールを飲んでみたいひとはぜひ。
メキシコが提案する「本格的ピルスナー」を一度ご賞味あれ!
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輸入元のリードオフジャパンはメキシコ製品に強い!
一般的(?)なスーパーには置いてある気配が無い「ボヘミア ピルスナー」。
同郷のコロナ エクストラに比べてレアなブランドを日本へ輸入販売しているのが「リードオフジャパン」という会社。
リードオフジャパンってこんな会社!
▶ 1985年創業の輸入卸業者
▶ 創業当初から「中米・南米」に特化した商品を輸入販売する
▶ 関連会社にワイン専門販売の「ドラジェ」
リードオフジャパンは中南米の酒類販売から事業をスタートさせた会社ですが、現在では飲料・食品まで取扱いを増やしています。
取扱いメーカーは日本では聴き馴染みの無いメーカーばかり。
ちなみに管理人は「ビック酒販 秋葉原店」で「ボヘミア ピルスナー」を入手しました。
近頃はリカーショップの機能をこうした家電量販店やドラッグストアなどの異業態が担っていることが増えてきています。
海外ビールブランドを目にする・手にする機会が増えるなら有難いことです!
Tips!:リードオフジャパンの関連「酒のやまいち」について
海外ブランドのビールを手に入れようと思ったら、悩むのが「調達先」。
近所のスーパーや仕事帰りにあるリカーショップで売っていればいいのですが、なかなかそうはいきません。
その時に重宝するのがAmazonや楽天市場のような大型ECモール。
ご紹介している「酒のやまいち」は管理人がよく使用するサイトの1つで、楽天市場にショップサイトを展開しています。
酒のやまいちってこんなショップ!
▶ 1982年創業の株式会社ドラジェが母体
▶ 基本的にECサイトでの販売としている
▶ やまいちはドラジェの「洋酒」専門ECサイトとして誕生
現在はリードオフジャパン㈱の傘下に入って運営されています。
洋酒専門ネットショップだけあって、海外ビールの取り揃えは秀逸!
今回ご紹介しているボヘミア ピルスナーが手に入りますので、見つからない場合はぜひチェックを!
ボヘミアブランドの製造元:メキシコ第2の都市「モンテレー」へ
モンテレ―って言われて地理関係が出てくれば、メキシコ通の方でしょう。
モンテレ―はメキシコ北部、アメリカ・テキサス州との国境に近くに位置する都市で16世紀のスペイン侵略時代から設立した都市でもあります。
外資系企業が多く進出していて、メキシコの中でもTOPクラスの経済的豊かさを持つまでに。
観光というにはメキシコシティやソカロなど有名都市に比べれば寂しいところはありますが、もし訪れた際に以下のスポットはいかがでしょうか?
モンテレ―の観光名所
■ 抑えておきたい
【フンディドーラ公園】
【モンテレイ現代美術館】
【.メキシコ歴史博物館】
モンテレ―を代表する観光スポットが[フンディドーラ公園]。
1986年の破綻までモンテレ―を象徴する製鋼所[パルケフンディドーラ]の設備を保存・有効利用するために公園として開放しています。
敷地内には鉄鋼精製時に使用されていた巨大な蒸留塔や溶融窯などインダストリーの規模を体感できる名残が。
TIPS:メキシコの基本情報
国名:メキシコ合衆国
首都:メキシコ・シティ
言語:スペイン語
人口:約1億2760万人(2019年)
宗教:ほぼカトリック
日本から直通便:メキシコ・シティ
通貨:ペソ 1ペソ=平均5円前後
日本との時差:15時間ほど遅い(メキシコ・シティで)
日本が昼12時なら、前日の夜9時
ボヘミアを生産している【ハイネケン・メキシコ】の母体には2つの醸造所
今回ご紹介しているボヘミアビール。
その製造元は以外にも外資系企業であるオランダ「ハイネケン」Grの存在がありました。
ということで調べるのにかなり時間を要した「ハイネケン・メキシコ」の歴史を本記事で詳しく解説していきます。
ハイネケン・メキシコの母体となっているのは、メキシコで勃興したある2つの醸造所を語る必要があります。
それが「クアウテモック醸造所」と「モクテスマ醸造所」の2つ。
まずはメインとなる醸造所「クアウテモック」から解説していきます。
メキシコ人実業家3名と1人の醸造家が実現した夢の形[クアウテモック醸造所]
1890年にモンテレ―で創業したクアウテモック醸造所。
ある中心人物の夢を実現するために「その意志」を受け継いだ仲間たちが興したと言われています。
このクアウテモック醸造所を創業させようと奮闘したのがメキシコ人起業家の「ホセ カルデロン ペニージャ José Calderón Penilla」という人物。
スペイン人の両親がモンテレ―に定住した時に生まれた彼は、若い時から商売に対する確かな才能を持っていました。
カルデロン氏が起業した食品・酒の卸会社でその才能は遺憾なく発揮され、メキシコで名の知れた事業家として認知されるのはあっという間だったと言われています。
そんなカルデロン氏がある日出会ったのが、後のクアウテモック醸造所を立ち上げるのに協力してくれた「アイザック ガルサ ガルサ Isaac Garza Garza」という人物。
アイザック氏もモンテレ―出身のビジネスマンで同じ才能に恵まれたカルデロン氏と親友の間柄になるのにそう時間がかからなかったとか。
卸会社時代に社員として働きにきた3人目の人物「ホセ・A・ムゲルザ José A. Muguerza」(のちにメキシコ有数の医療機関:ムゲルザ病院を建設した人物)とも親交を深めます。
ビジネスに対するセンスがずば抜けていた3人がビール事業を興す「キー key」となる人物と出会ったのが1886年。
アメリカ・ミズーリ州のセントルイスを旅行していたカルデロン氏とアイザック氏。
そこで「ジョセフ マリア シュナイダー Joseph M. Schnaider」と知り合うことになります。
シュナイダー氏はビール醸造家として実力を持っていた人物で、彼には「自分の醸造所」を作るという目的を持っていました。
シュナイダー氏の目標を前にカルデロン氏はモンテレ―で醸造所を設け販売していくこと提示。
合意したシュナイダー氏もモンテレ―に移住します。
そうして揃った3人の実業家と1人の醸造家による最初の醸造所が立ち上がります。
その名は「エル レオンEl Leon」醸造所。
このエル レオン醸造所がどういう存在だったのかを捕まえることが出来ませんでしたが「クアウテモック醸造所」の礎となった醸造所で間違いありません。
この4年後、1890年に4人の2つ目にあたる醸造所「クアウテモック」が立ち上がるのですが、ここで悲劇が。
ビール事業創立における中心人物だったカルデロン氏が1889年にこの世を去ることに・・・。
クアウテモック醸造所の完成を間近に46歳という若さで旅立ったカルデロン氏。
その意志を受け継いだ3人の仲間が実現までこぎつけたクアウテモック醸造所は同年に第1号ブランド「カルタ ブランカ(carta blanca) 」をリリース。
豊かなコクと風味、程よく流れるスムース感は販売直後から大反響を得ることに。
今回ご紹介しているブランド「ボヘミア」は1905年に誕生しました。
全世界を震撼させたビールの革命「ピルスナービール」を生み出した中欧のチェコ。
20世紀初頭ではボヘミアという呼称で知られていたビール王国をリスペクトしたブランドとして着想したと言われています。
すでに市民権を得ているカルタブランカよりも上質なビールをコンセプトに作り上げたボヘミアはクアウテモックの新たな代表ブランドになっていきました。
まとめると
<創業者>
・ホセカルデロンペニージャ
・アイザックガルサガルサ
・ホセ・A・ムゲルザ
・ジョセフマリアシュナイダー
<創業年>
・1886年 「エル レオン醸造所」が前身
・1890年 「クアウテモック醸造所」
・1988年 「クアウテモックモクテスマ醸造所」
・2010年 「ハイネケン・メキシコ」
ドイツ系移民が立ち上げた[モクテスマ醸造所]と経営危機による吸収合併
いっぽう、モクテスマ醸造所については歴史の分かる資料があまり見つからず・・・。
調べてみて分かったことは[1896年に創業したこと][ドイツ移民が創業したこと]。
創業者として知られているのは[ウィルヘルム・ハッセ Wilhelm Haase]と[エンリケ マンテイ Enrique Mantey]の2名と言われています。
彼らはメキシコ東部の街「ベラクルス」でモクテスマ醸造所を立ち上げます。
モクテスマ醸造所が最初にリリースしたのは「ドスエキス(Dos Equis XX)」のアンバー(1897年リリース)。
ちなみに当時はドスエキスというブランド名ではなく、「シグロ(Siglo)XX」という品名でした。
モクテスマ醸造所の所有するブランドとして「ソル」も有名です。
ソルは1899年にリリースされたブランドで元々はモクテスマ醸造所とは別の醸造所が生み出したビールと言われています。
1912年にモクテスマ醸造所が所有する形でニューリリースされます。
クアウテモック醸造所と引けを取らない歴史とブランドを抱えるモクテスマ醸造所ですが、1970年代に入り従業員への賃金問題や資金繰りの悪化で経営が困難に・・・。
1988年にクアウテモック醸造所が統合する形にしたことで「クアウテモックモクテスマ醸造所」が誕生します。
昨今では2010年に有名なオランダのハイネケンGrがクアウテモックの20%に及ぶ株式を所有。
クアウテモックモクテスマ醸造所は「ハイネケン・メキシコ」という新しい形で現在に至ります。
まとめると
<創業者>
・ウィルヘルム・ハッセ
・エンリケ マンテイ
<創業年>
・1896年 「モクテスマ醸造所」
・1988年 「クアウテモックモクテスマ醸造所」
・2010年 「ハイネケン・メキシコ」
Tips!:社名の「クアウテモック」と「モクテスマ」は王の名前から
ということでちょっとした解説。
今回ご紹介したボヘミアを製造している会社「旧:クアウテモックモクテスマ醸造所」ですが面白いことに両醸造所の社名は土着の文明で名をはせた王の名を冠しています。
1325年~1521年までメキシコのテノチティトラン(現在のメキシコシティ)に存在していたアステカ帝国。
「モクテスマ」とは1398–1469のモクテスマ1世・1466-1520のモクテスマ2世の名と同一です。
モクテスマ1世は長期政権でアステカ帝国の礎を築いた王として、2世は最大領土を築いた王として知られています。
一方、「クアウテモック醸造所」の方は先ほどのモクテスマ2世のあとに出てくるアステカ帝国最後の王「クアウテモック」と同一です。
皆さんも歴史の勉強で聴いたことがある「スペインのアメリカ大陸侵略」。
コンキスタドールの「エルナン コルテス Hernán Cortés de Monroy y Pizarro」のアステカ侵略が引き金となりモクテスマ2世は殺されてしまいます。(同じアステカの民によるのかスペイン人かは諸説あり)
そんなモクテスマ2世の従兄弟とされるのがアステカ帝国最後の王「クアウテモック」でした。
コルテス率いるスペインと勇敢に闘うも最終的には敗戦、コルテスから黄金の財宝の在処を聴きだされる名目で苛烈な拷問を受けたと言われています。
わずか30歳の若さでこの世を旅立ったクアウテモックが最後の王となり、アステカ帝国は滅亡しました。
ただ、コルテスの侵略行為に対して勇敢に立ち向かい国のために血を流したクアウテモックはメキシコの人々にとって深く刻まれた王でした。
<Information>
ボヘミア ブランドとしては黒と白の2種類あり
今回は代表選手である「ピルスナー」をご紹介しましたが、他にも2種類ラインナップがあります👇
メキシコを代表するピルスナーの黒と白。
ボヘミア ピルスナーのレビュー まとめ
こんな方におすすめ
- 甘めのビールでも美味しく飲めるひと
- メキシコのビールに興味があるひと
- コロナビールが好きだけどもう少しビールっぽいのを飲みたいひと
こんなシチュエーションで
- ぐいぐいビールを飲みたい気分に
- 暑い季節に
- 食中のお酒として
クアウテモック醸造所のフラッグシップブランドである「ボヘミア ピルスナー」
たまには、日本の大衆ビールを離れてメキシコのプレミアムビールを楽しんでみては??
ではまた。