この記事で解説していることは?
- この記事で「ビールの種類」について簡単に解説
- キーワードはたったの3つ:「エール」「ラガー」「酵母」
- 日本のビールが美味しくないと考えているひとは必読
世界のビールブランドの特徴と歴史を徹底的に解説するレビューサイト「ファウンドビア!」。
今回のテーマは「シリーズ:初心者でもすぐわかる!ビールの種類編」と題して簡単にわかりやすく説明していきます。
ビールに対して強い関心のあるひとはさらっと答えられそうですが、多くのひとにとっては分かるようで分からないビールの種類。
管理人も本サイトを管理・運営している手前、知人・友人に👇のような話題になることが多いです。
~ある日の飲み会で~
TVCMでは「ラガー」とか「エール」とか色々なところで出てきますが、今一つ分かるようで分からない。
そんなひとも、この記事を読めば雑学としてだけでなく「自分の好きなテイスト」にハマるビールを探すことが出来ます。
結論
- ビールの種類は100以上あるけれど、以下の3つから枝分かれしている
【エール】=ペールエール・IPA・スタウト etc
【ラガー】=ピルスナー・シュバルツ・ボック etc
【自然発酵・その他】=ランビック・グーズ・フルーツビール etc - 種類が多すぎて選ぶのが怖い・・・!ひとには
【エール系】=香りが良くてコクがある
【ラガー系】=炭酸が強くてのど越しが良い
【ホワイト系】=フルーティで苦くない
【IPA/黒系】=苦い!けど香りが良い
- 【エール】や【ラガー】は種類ということでOK?
まずはその理解でOK(厳密には発酵方法) - そもそも「エール」とか「ラガー」って何から?
ビールに不可欠な「酵母」の発酵方法を指している - 日本の「一番搾り」や「スーパードライ」って何の種類に該当?
【ラガー】の中で「ピルスナー」というタイプ
日本の大手ビールはピルスナーがほとんど
もくじ
1:ビールの種類は100以上!大本は「エール」「ラガー」「自然発酵+その他」の3つから
※クリックで拡大
管理人がザックリ簡単にまとめてみましたが、本当はビアスタイルは世界100種類以上あるといわれています。
ビアスタイル1つ1つに作り手の「思いとこだわり」がギューっと詰まっているので、しっかり勉強していくと楽しいのですが
初心者の方はまず「ラガー」「エール」の違いを理解するだけでOKです!
※自然発酵のビールはかなりマニアックなので、ここでは覚えなくても問題ありません。
この2つが何の違いなのかを知っているだけでビールの違いを理解できます。
ポイント
自分の口に合うビアスタイルを探すには代表的な「スタイル」4つを覚えてしまおう!
世の中に100種類以上あるビアスタイル。
「そんなに覚えられないよ!」というひとには今から提案する内容で選んでみるのはいかがでしょう?
本サイトは海外ビールブランドだけを取りあげているので、日本のビールが属する「ピルスナー」以外のビアスタイルも解説しています。
香りが華やかでコクのある「エール」系ブランド(一例)
ポイント
▶ エール系の特徴(ざっくり)
1)日本で飲まれているラガー系ビール「ピルスナー」よりもずっと歴史のある種類
2)特徴は香りとコクが強いビアスタイルが多く、炭酸は優しい口当たりなので飲みやすい
3)香りを最大限楽しむには日本のビールより高い温度で飲むのがおススメ
日本でも大手の「サントリー」や「エビス」がエール系ビールのブランドがリリースされています。
参照画像:ヤッホーブルーイング公式HPより
あとは「ヤッホーブルーイング」が提供するビアスタイルもエール系なのでぜひ。
海外の代表的なエールビールだと、イングランドの「フラーズ」シリーズがおススメしたいところ。
残念ながら管理人はまだ入手出来ていないので、手に入り次第レビューします。
日本のビールと同じスタイルを持つラガー系(一例)
ポイント
▶ ラガー系の特徴(ざっくり)
1)日本で飲まれているラガー系ビール「ピルスナー」は世界中で愛されているビアスタイル
2)特徴はクリアーな爽快感と刺激的な炭酸、まったり楽しむエール系と対照的にグビグビ飲みたい
3)キンキンに冷やして飲むのが最高に旨い
というのも、ビールの美味しさを決めるのは「香り」や「コク」だけでなく、のどに流したときに感じる爽快感も重要な要素。
同じお酒のワインや日本酒には無い独自の要素とも言えます。
日本で市民権を得ているピルスナーですが、その特徴から温暖~熱帯地方の国々でよく飲まれています。
<管理人おススメ ラガー系海外ブランド>
▶ ピルスナーウルケル(チェコ)
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▶ グロールシュ プレミアム(オランダ)
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▶ ハイネケン(オランダ)
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女性の方に大好評!なフルーティなビール:ホワイト系(一例)
ビールの美味しい点ではありますが、欠点でもある「独特の苦み」
ひとによって、舌で感じる苦みの度合い(強弱)は大きく異なっていると言われています。
ということもありえます(実話)
ですが、このセクションで紹介する「ホワイト系」ビールは、多くのひとに紹介していて
殆どのひとたちが「許容できる苦み」か「苦みが感じない」と思ってくれる種類。
ポイント
▶ ホワイト系の特徴(ざっくり)
1)原料の大麦に+小麦やフルーツなどを加えた複合ビール
2)特徴は濁った色味と甘みを感じる香り、総じて柑橘系の酸味や甘みをイメージさせるブランドが多い
3)日本のビールは飲めないけど、ホワイト系はイケるひとも多い
<管理人おススメ ホワイト系海外ブランド>
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ホップの苦みやローストした香ばしさがハマるIPA/黒ビール系(一例)
というひと向けに解説しますと、IPA=「インディア・ペール・エール」の略称。
インドは20世紀初頭まで大英帝国(現在のイギリス)に植民地化されていた国。
18~19世紀の時代なので飛行機は実用化されてもおらず、イギリス~インド間を船で行き来していました。
その時に長期間に及ぶ船出の中でも、腐敗し難いように作ったビールがIPAの源流とされています。
そんなルーツを持つIPAはとにかく「苦い」!
ですが、ホップの持つフレッシュさやハーブを思わせる香りは心地よいアロマとなって飲むひとを虜にさせます。
アメリカでは、多くのマイクロブルワリーがIPAをベースにしたクラフトビールを作り続けているほど。
ポイント
▶ IPA系・黒ビール系の特徴(ざっくり)
<IPA>
1)原料の1つ「ホップ」を大量に加えて香りと苦みを存分に味わえるビール
2)特徴は舌に刺さる苦みとハーブ系のフレッシュなアロマ
3)クセがあるものの、その香りと苦みにハマればコレしか飲まないひとも
<黒ビール>
1)原料の大麦を焙煎(ロースト)して醸造するビール
2)特徴はコーヒーを思わせる香ばしさと苦み
3)のど越しとは遠いけれど、その奥深さにハマるひとも多い
というひともちらほら。
日本のビールでおススメは?と聴かれたら「エビス」のクリーミートップ スタウトか「サントリー」プレミアムモルツ・黒を推します。
参照画像:エビスビール公式HPより
参照画像:サントリー公式HPより
<管理人おススメ IPA/黒系海外ブランド>
▶ ブルックリン ディフェンダーIPA(アメリカ)
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▶ ギネス スタウト(アイルランド)
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▶ カーネギー ポーター(スウェーデン)
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2:「エール」「ラガー」をより深く知るうえで重要な知識:ビールを作る原料について
コーンスターチや米も当てはまるのですが、正確には副原料のため必須の原料ではありません。
(※後述する酵母に必要な糖分を追加するために使う)
ビールを構成する要素として「麦」と「ホップ」が出てくれば、正解です。
あとはお酒造りには不可欠過ぎて意外と忘れられがちですが「きれいな水」も含まれます。
そしてここからがビールの違いを知るオトナになるために覚えておきたいのが「酵母」の存在。
※👆画像は管理人が初心者におススメするビール「グロールシュ」というオランダのビール
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ぶどうの果実から作るワインや米から作る日本酒もそうですが「酵母」が無いとお酒が出来ないため、必要不可欠な存在です。
酵母という生物の力を利用して美味しい食べ物・飲み物が出来る
酵母は真菌類の1種とされていて、キノコやカビと同じカテゴリーの微生物。
古くから空気中や自然の中で生きている酵母を人類はお酒を造るときに利用していました。
酵母は数えきれないほど種類があり、私たちの食生活ではパンやしょうゆにみそなどの発酵食品を作り出すための手助けをしてくれています。
そんな酵母のなかでビールで使われている酵母(ビール酵母)には糖分を栄養にしてアルコールと炭酸ガスを生み出す発酵性の強い酵母が使われています。
ビールにおける「糖分」は、先ほどの原料である麦(正確には麦芽)から発生するデンプンから成る糖分。
ビール酵母に頑張って働いてもらうためにビール職人は、麦芽を煮沸して出来上がる「麦汁(ばくじゅう)」と呼ばれるビールの素を作るわけです。
出来上がった麦汁の中に酵母をIn!するとビール酵母は麦汁中の糖分を元気に食べてはアルコールと炭酸ガスをぷりぷり出していきます。
※酵母×麦汁=ビールの図👇
ポイント
▶ 「酵母」が果たす役割は「麦汁をビールに変えること」
麦芽(発芽した大麦)を煮出して作る麦汁(ビールの素)× 酵母
=ビールの「炭酸」と「アルコール」「香り」に変化する
ビール酵母の活動条件によって「エール」と「ラガー」に分かれる
参照画像:サッポロビール公式HPより
ここでようやく出てくる「エール」と「ラガー」という単語。
先ほど解説した「麦汁」というフィールドで活動をするビール酵母ですが、発酵の性質と条件によって「エール」と「ラガー」に大別できます。
(※自然発酵はひとまず置いて)
下にゴロっと沈んでいくのが「下面発酵」です
麦汁を作るまでの工程は「ラガー」も「エール」も同じ段階を踏んでいきますが
酵母を添加してからの発酵過程の違いで出来上がるビールの方向性(ビアスタイル)が決まっていきます。
(※ビアスタイルはさらに原料である麦芽・ホップの種類・配合量・手順で分けていきます)
ポイント
▶ 「エール」「ラガー」2つを分けるのはビール造りで使用する「酵母」の違い
「エール系酵母」=常温でよく活動する・短い時間で発酵する
「ラガー系酵母」=低温でよく活動する・長い時間をかけて発酵する
3:日本ではラガー系ビールが主流である理由:歴史からひも解く
といっても、本記事の話題から外れるのでザックリと解説していきます。
(※需要があれば、そのうち詳細に)
もともとビールは外国の文化で、日本では江戸時代までお酒といえば「日本酒」中心の文化。
日本の歴史上、最初にビールを飲んだとされる記録は1724年に仙台藩士が残した「阿蘭陀門答」なる書物で
江戸時代に数少ない貿易国であったオランダから輸入されたビールの所感が記載されています。
そんな日本でビールの歴史が大きく動いてきたのは1870年代。
幕末~明治時代にかけて日本では鎖国解除から神戸や横浜などの寄港地に外国人居留地が増えてきました。
当時の交易品に海外ブランドのビール瓶もちらほら混じっていたようですが、長い船出による劣化の問題でブランデーやウイスキーの洋酒に比べて流通量はわずか。
そこで、外国人居留地に滞在する外国人らが日本でブルワリーを立ち上げました。
ポイント
▶ ジャパンブルワリー
ローゼンフェルトが横浜で開業
→日本最初のブルワリーだが5年で廃業
→ウィリアム・コープランドが醸造技師として従事していた
▶ スプリングバレーブルワリー
ウィリアム・コープランドが横浜で開業
→のちのキリンビールにつながる醸造所
▶ 渋谷(しぶたに)ビール
渋谷庄三郎氏がアメリカ人醸造技師を雇って開業
→日本人経営者初のブルワリー
→わずか9年で廃業
この1870年代は、上記の出来事だけでなく今のサッポロビールの前身である「開拓使麦酒醸造所」(1876年創業)の誕生など
日本のビール史で重要なメンバーが続々と登場します。
1880年代~1890年代には、現在のアサヒビールと1890年にエビスビールが誕生し、当時の日本では100社を超える醸造所が立ち並んで各々のビールを販売していました。
ポイント
▶ 日本のビールが始まったのは??
=幕末~明治初期にかけて(1870年代)
=最初は外国人の手による開業が多かった
=1890年代には100社以上のビールメーカーがあった
日本でラガービールが主流である背景:ビール税の導入と中小事業者の廃業による寡占化
時代も1900年代にさしかかる頃。
一大産業として市民の手にも届きつつあるビール市場に激震が走ります。
それが、1901年に政府が導入した「麦酒税法」。
それまで日本酒や焼酎など昔からある酒類に対して明治政府は製造した分量に応じた税金をかけていましたが、ビールは新興市場だったためしばらく無課税でした。
成長を続けるビール市場に目を付けた明治政府はビールを醸造する業者に対して高額な税金を課すことに。
さらに明治政府は1908年に改正案を可決。
年間出来高量が1000石(現在の180KL)を超える事業者で無いとビール製造を許可しないという重い条件を付与しました。
現在の日本ビール市場のプレイヤーが大手5社のみ「キリン・アサヒ・サッポロ(エビス)・サントリー・オリオン」で寡占状態なのはこうした歴史があったから。
今でこそ1994年に酒税法が緩和され日本国内にクラフトブルワリーが急増し、ビールに対する課税が和らいだりしていますが
日本のビール史は「税金」に振り回される歴史といえるでしょう。
話を戻しますが、1900年代に大手しか残らなくなったビール市場では日本国内でシェア率を争い続けます。
ポイント
1900年当時のブランドシェア
▶ 東日本 = サッポロビール
▶ 首都圏 = エビスビール
▶ 西日本 = アサヒ
もちろん、日本の歴史上ラガー系ビール会社が厳しい時代を乗り切ったからと言えるでしょうが
管理人としてはエール系とラガー系の味わいと日本人の趣向の点も考えたいと思います。
参考
▶ Q:日本ではなぜラガー系ビールしか無いのか?(主流なのか?)
A:以下の3つが重なって今に至ると考える
1)歴史上、経営体力のある大手がラガー系ビールの会社だったから
=(上記の説明通り)
2)日本ではラガービールを作る環境に向いているから
=(管理人の考察)日本の軟水はラガービールを作るのに最適な環境
3)日本では湿気の多く蒸し暑い気候でのど越しの良いラガー系ビールの方が好まれるから
=(管理人の考察)アジア諸国・赤道に近い国ほどラガー系の人気が高い傾向にある
今でこそ400社以上とも言われる国内のマイクロブルワリー。
次々に開業していくブルワリーは日本ビール史のの黎明期と同じ流れを感じます。
管理人的には海外と同じようにもっともっと多くのひとに多種多様なビアスタイルを楽しんでもらいたいと願っています。
「ビール=苦くて炭酸がキツイ アルコール」という固定観念が崩れて
それぞれが「私はヴァイツェンが好き」「俺はボックが良い」という会話が出来る日本であればもっとビールが楽しい文化になることでしょう。
まとめ
結論
- ビールの種類は100以上あるけれど、以下の3つから枝分かれしている
【エール】 =ペールエール・IPA・スタウト etc
【ラガー】 =ピルスナー・シュバルツ・ボック etc
【自然発酵・その他】 =ランビック・グーズ・フルーツビール etc - 種類が多すぎて選ぶのが怖い・・・!ひとには
【エール系】 =香りが良くて
【ラガー系】 =
【ホワイト系】 =
【IPA/黒系】 =
- 【エール】や【ラガー】は種類ということでOK?
まずはその理解でOK(厳密には発酵方法ですが) - そもそも「エール」とか「ラガー」って何から?
ビールの構成要素である「酵母」の発酵方法を指している - 日本の「一番搾り」や「スーパードライ」って何の種類に該当?
【ラガー】の中で「ピルスナー」というタイプ
日本の大手ビールはピルスナーがほとんど
ビールの初心者向けに解説記事を作ってみましたが、いかがでしたでしょうか。
もしも、あなたの疑問に対してうまく答えられていたら幸いです。
ではまた!