このビールはこんな感じ!
- 洋ナシとカラメルの香り・風味を味わえるコク深いビール
- 「バドワイザーの元祖」を飲んでみたいひとにおススメ
- 「香りの強いビール」が苦手なひとは避けた方が無難
- 一度は飲んで欲しいチェコの国営ブランド
Ahoj!(アホイ!)
本日の一杯はビール大国チェコの3位に入る大ブランド「ブドヴァル」をご紹介します。
もくじ
ブドヴァル 基本スペックとおススメできるひと
価格帯
☆☆ 300円-500円レンジ
入手難易度
☆☆ 海外ビールに強いショップで入手可能
アルコール度
5.0%
タイプ
ボヘミアンピルスナー
ブドヴァルの味わい
- 炊飯器で米炊いた時の甘い香りとカラメル香
- 洋梨系の甘みを強く感じる、苦みはしっかり後でぐっと迫る
- カラメルの風味も感じ、複雑な味わいを楽しめる
参考
数値について
▶あっさり:2.5 ☞適度なのどごし
▶濃厚さ :3.0 ☞様々な風味を感じる
▶苦み :3.0 ☞しっかりした苦み
▶酸味 :2.0 ☞やや控えめ
▶甘み :3.0 ☞ナシとカラメル系甘み
こんな方におすすめ
- 苦いビールに抵抗が無いひと
- 甘いテイストが好きなひと
- ラガー系で明確な旨味・味わいを楽しむのが好きなひと
こんなシチュエーションで
- 中欧料理を食べながら
- たまのご褒美に
米国バドワイザー誕生のきっかけとなった老舗ブランド[ブドヴァル]
「ブドヴァル」と聴いてピンッ!とくる方は、かなりビールに精通しているでしょう。
ブドヴァルはチェコで1895年に設立した珍しい国営企業ですが、逸話として語られるのはその名称。
ブドヴァルを生産している場所は「チェスケー・ブジェヨヴィツェ」という町ですが、この町で作られているビールの呼び方を「ブドヴァイゼル・ビール」として古くから語られてきました。
このブドヴァイゼル・ビールという呼称(ドイツ語表記)は英語にするとバドワイザーとなります。
産交画像:バドワイザー公式HP
バドワイザーというと、以前ご紹介したアメリカのバドワイザーという日本でも非常にメジャーなアメリカンラガー。
実はアメリカのバドワイザーはもともと今回ご紹介するブドヴァルにちなんでいます。
もちろんアメリカのバドワイザーの方が後発なんですが、商標の争いによる遺恨から互いにギスギスしていることで知られています。
あんまり良くない印象で覚えられてしまっているチェコビール「ブドヴァル」ですが、その味わいはバドワイザーとまったく似ていません。
栓を開けて注いでみたら不思議と「炊飯器で炊けたコメ」のような甘い香りが。
口に含んでみると、チェコビールらしい甘みを感じるテイスト。
ホップの苦みがしっかり主張するところは、まさしくチェコビールですね。
アメリカのバドワイザーとはテイストが全然違うだけに、共通点が思いつきませんでした。
同じチェコビールの「ピルスナーウルケル」や「スタロプラメン」が好きな方には、ブドヴァルもぜひ試してもらいたい。
主張する甘みと苦みのバランスは、あなたに深い満足感を与えてくれます。
本場らしく揚げ物を食べながら飲むのも楽しいですし
チェコビールは味わい深いので、単体でゆっくり楽しむのも良いでしょう。
※チェコのビールブランド「スタロプラメン」「ピルスナーウルケル」もおススメの1本ですよ!👇
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リカーショップで入手できるが、比較的レア度高めのブランド
そう言われてしまってもおかしくないぐらいには、結構レアなビールブランドです。
日本でマーケットに広く展開しているチェコのブランドは、アサヒビールが所有する「ピルスナーウルケル」が圧倒的。
他にも「リカーマウンテン」で見つかりやすい「スタロプラメン」もあるのですが、ことブドヴァルはなかなか見つけにくいです。
成城石井などの輸入品に強いショップであるかどうかです(ちなみに、秋葉原アトレ3Fの成城石井には売っていました:2020年12月時点)
見つからない場合は、ネット通販で探しましょう!
1本買いだとかなり高いのですが、まとめ買い(24本)になると最安で飲めるのがメリット。
ブドヴァルの故郷:チェコ共和国のチェスケー・ブジェヨヴィツェへ!
チェコの首都プラハから各種公共交通機関で2-3時間。
南部の都市「チェスケー・ブジェヨヴィツェ」に到着します。
13世紀に市として建設されて以降、交通の要所として重宝されてきたチェスケー・ブジェヨヴィツェ。
16世紀には塩・ビール醸造等で内外に広く知られるようになったチェスケー・ブジェヨヴィツェでは、バロック式・ルネサンス式の美しい建築物が残っており
見どころとして、多くの観光客が訪れます。
ここでは、チェスケー・ブジェヨヴィツェでオススメする観光スポットを挙げていきます👇
チェスケー・ブジェヨヴィツェの観光名所
■ まずは抑えておきたい
【聖ミクラーシュ教会】【ブジェミスル・オタカル2世広場】【サムソンの噴水】
■ 歴史を学ぶ
【モーターサイクル博物館】【南ボヘミア博物館】
■ ちょっと遠出して
【フルボカー城】
【プラハ=スタロプラメン醸造所】【プルゼニュ=プルゼニュスキー プラズドロイ醸造所】
この街を訪れる目的はおおよそ「ブドヴァル」のビジターセンターに行くためかと思いますが
観光する際は、中心街から北へ約4km離れた「フルボカー城」を訪れてみたいところです。
19世紀に建てられたフルボカー城はイギリスのウィンザー城をモデルに建築されたネオゴシック式城館。
TIPS:チェコの基本情報
国名:チェコ共和国
首都:プラハ
言語:チェコ語
人口:約1070万人(2019年)
宗教:無宗教が多いがバラけている
日本から直通便:無し、ワルシャワなど近隣から経由便で14時間~
通貨:コルナKč(1Kč=平均5円前後)
日本との時差:8時間差(日本が12時なら捷が明け方4時~)
チェスケー・ブジェヨヴィツェの代表する会社【ブジェヨヴィツェ・ブドヴァル国営会社】
チェコビールブランド「ブドヴァル」を製造している【ブジェヨヴィツェ・ブドヴァル国営会社】
会社としての設立は1895年ですが、歴史を遡るとチェスケー・ブジェヨヴィツェでは中世からビール造りをおこなっており
このブドヴァルが誕生するに至った経緯はとても興味深いところです。
古くは1265年プシェミスル朝のボヘミア王【オタカル2世】がチェスケー・ブジェヨヴィツェを作り上げたときからビール醸造の記録が残されており、上質な麦・ホップ・水の好条件で以て造られたビールは町の重要な財源であり自慢でした。
その品質は1547年(16世紀)に時の神聖ローマ皇帝【フェルディナンド1世】から皇室御用達として認められるほど。
ここだけ切り取ると素敵な話に見えますがチェスケー・ブジェヨヴィツェのビール史は苦難の連続です。
この町が設立された当初から、町民は個々でビールを醸造する特権を持っていました。
しかし、時代が経つにつれ町を管理する議会の目に止まり長い時の中でビール醸造における権利を争うことに。
町の設立から200年以上経った1495年には、町が運営する初めての醸造所が出来るなど【町営醸造】【自家醸造】2つに分かれていきます。
時代が経ち1722年に町民と町議会の間でビール醸造における管理権についてもめ事が起こりました。
この権利をかけたもめ事は1795年に決着、この時に【チェコ合同醸造】ともう一方のブランド【ブジェヨヴィツェ市民醸造】の2つが誕生しました。
メモ
ブジェヨヴィツェ市民醸造 =現在のサムソン醸造所(民営会社、インベブ社が買収)
チェコ合同醸造 =現在のブジェヨヴィツェ・ブドヴァル国営会社
2つの醸造所で作られるビール【通称:ブドヴァイゼル・ビール】は1872年に、アメリカを渡ります。
当時ヨーロッパからアメリカへ移民として渡る流れがあり、ブドヴァイゼル・ビールもこの時アメリカに流れていきました。
アメリカでも本場チェコビールの味わいは人気が高く、その中でブドヴァイゼル・ビールのブランド力と評判にインスピレーションを受けたドイツ系移民のアドルファス・ブッシュが1876年にブドヴァイゼルの英語発音「バドワイザーラガービール」という形で自身のビールを販売し始めます。
アドルファス・ブッシュはアメリカでバドワイザーの名称を商標登録したことから、アメリカへ輸出していたブドヴァイゼル・ビールと商標について大きな争いが起きてしまいました。
この訴訟は結果的にブドヴァイゼルビールの敗北といえ、北米大陸および米保護領に限ってはアドルファス・ブッシュ側にバドワイザーの名称を使うことを認めることになります。
その後、1895年に【チェコ合同醸造】は法人として登録、作っているビールブランド名も「ブドヴァイゼル・ブドヴァル」にしたことからブドヴァルブランドの始まりになります。(商標登録は先述のアメリカ・バドワイザーとの争いがあり、1930年にブドヴァル名で登録)
20世紀に入り、2度の世界大戦を経て2つの醸造所は国有企業として国に接収、ブジェヨヴィツェ市民醸造は2014年にインベブ社が買収、サムスン醸造所と名称を変更。
チェコ合同醸造所は、現在のブジェヨヴィツェ・ブドヴァル国営会社として今に至ります。
【ブジェヨヴィツェ・ブドヴァル国営会社】と【サムスン醸造所】はどちらも、チェスケー・ブジェヨヴィツェに醸造所を構えていて
ブジェヨヴィツェ・ブドヴァル国営会社は一般見学可能です(サムスンの方は不明)
<Information>
ビジターセンター ブジェヨヴィツェ・ブドヴァル国営会社
営業時間 :9:00-17:00(2020年現在コロナにより休業)
所要時間 :60分程度
入場料 :1人 150 CZK(およそ750円ほど 2020年12月現在)
サムスン醸造所
※毎年6月には、サムスン醸造所でフェスタが行われるので、訪れるのに最適
ブドヴァルは他にも多彩なブランドを多数所有
複雑な歴史を歩んできている苦労人ブランド「ブドヴァル」
日本ではブドヴァルのみ入荷していますが、同醸造所ではほかにも数種類のシリーズを展開しています。
その他ラインナップ
■ ブドヴァル 33 (4.6%)
■ バド バーリング (5.0%)
■ バド ストロング (7.4-8.2%)
■ バドバーダークラガー(4.7%)
■ パンサー シリーズ などなど・・・
チェコを訪れたとき、ひたすら樽生ばかり飲んでいましたが、多種類も飲んでみるべきでした・・・。
ストロングやダークラガーは日本で見かけることが無いので、もしチェコに行かれた際は飲んでみてはいかがでしょうか?
ブドヴァルのレビュー まとめ
こんな方におすすめ
- 苦いビールに抵抗が無いひと
- 甘いテイストが好きなひと
- ラガー系で明確な旨味・味わいを楽しむのが好きなひと
こんなシチュエーションで
- 中欧料理を食べながら
- たまのご褒美に
米国バドワイザーとまったく味わいの違う老舗ブランド「ブドヴァル」
チェコNo3ブランドのピルスナービールをぜひ1度楽しんでみてはいかがでしょうか?