このビールはこんな感じ!
- かつおぶしのような香りとヴァイツェンのシルキーが同居する快作
- 「ビールに対する見識と味覚レンジ」を持つひとにおススメ
- 同メーカーのメルツェンほどでは無いにしろ「超玄人」向け
- ドイツ中部の世界遺産の街で700年以上前から作られる老舗ブランド
Guten Tag!(グーテン・ターク!)
本日の一杯は非常に好き嫌いが分かれるラオホビールの名門「シュレンケルラ」から「ヴァイツェン」をレビューします!
ドイツの伝統的ビールブランドのなかで、スモークさせた麦芽で作るという特殊な製法。
代表作のメルツェンよりも飲みやすいので「初めてのラオホビール」ならおススメするブランドです。
もくじ
シュレンケルラ ラオホ ヴァイツェン 基本スペックとおススメできるひと
価格帯
☆☆☆ 700円レンジ
入手難易度
☆☆☆ ネット通販で入手可能(管理人は東京・リカーズ ハセガワで購入)
アルコール度
5.2%
タイプ
ラオホ+ヴァイツェン
シュレンケルラ ヴァイツェンの味わい
- 香り:かつお節で抽出した一番だし
- スモークチーズ、スモークサーモン、アップルパイ、シナモン
- 後半にヴァイツェンの酸味と甘みを感じる
- 満足感高く、次も飲んでみたいと思わせるクオリティ
テイスト分布図
参考
数値について
▶あっさり:3.0 ☞見た目に反してあっさり派
▶コク :5.0 ☞スモークの奥にコク
▶苦み :2.5 ☞燻した煙さ
▶酸味 :2.5 ☞適度な酸味
▶甘み :2.5 ☞適度な甘み
こんな方におすすめ
- スモーク食品が大好きなひと
- 黒ビールの煙っぽさが好きなひと
- ビールをしっかり味わうことが出来るひと
こんなシチュエーションで
- 燻製食品といっしょに
- 深い歴史の味を堪能する気持ちで
ラオホ+ヴァイツェンが新たな可能性を広げた!【シュレンケルラ ラオホ ヴァイツェン】
以前、本サイトではシュレンケルラの代表作「メルツェン」をご紹介致しました👇
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【レビュー】ドイツ シュレンケルラ ラオホ メルツェン:味の特徴とこんなひとにオススメ!
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嫌いなひとはとことん嫌いになるけれど、ハマるひとは「コレしか飲みたくない!」まで行き着くシュレンケルラシリーズ。
同門の中で「これは!」と管理人が思ったのが今回ご紹介するヴァイツェンVerです!
ヴァイツェンはドイツの南部ヴァイエルン地方を中心に愛されているビアスタイル(注:ビールの種類)。
通常のビール、代表的なラガービールを取ってみると大麦麦芽を使用しているのですが、ヴァイツェンは小麦麦芽を併用しています。
濁った色味とバナナに似た香りが特徴で、口当たりはまろやかでシルキー。
ホップによる苦みが非常に抑えられているのも特徴なので、苦いのが苦手な女性を中心に強く支持されています。
参考
ベルジャンホワイトはヴァイツェンに似ていますが「オレンジピール(果皮)」「コリアンダー」が含まれていて、オリエンタルな香りが心地良いスタイル。
本サイトでは「ヒューガルデン」や「ブルームーン」「クローネンブルグ1664ブラン」などご紹介してきました。
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【レビュー】ベルギー ヒューガルデン ホワイト:味の特徴とこんなひとにオススメ!
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【レビュー】アメリカ ブルームーン ベルジャンホワイト:味の特徴とこんなひとにオススメ!
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【レビュー】フランス クローネンブルグ1664ブラン:味の特徴とこんなひとにオススメ!
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参照画像:シュレンケルラ公式HPより
本題に戻りますが、シュレンケルラは昔ながらの製法である「ブナの木による麦芽の直火焙煎」を守り続けている醸造所。
強く燻された麦芽に強く纏った煙がこのビールを造りだしています。
今回のヴァイツェンも小麦麦芽を使用しているものの個性である煙の風味は健在!
グラスに注いだ時には「かつお節」の香り!
口に含んでみると燻製の食べ物「サーモン・チーズ」の味わいが駆け巡ります!
並行してヴァイツェンの酸味とバナナの甘みが感じられるため、最初の取っつきにくさを過ぎたら不思議とスルスル飲めてしまう・・・!
第一印象は明らかに付き合いにくそうだと思っていたけれど、話しかけてみたら「超良いやつじゃん!」ぐらいのちゃぶ台返しを見せてくれる「ラオホ ヴァイツェン」。
管理人的にはかなり好きな部類に入りました・・・(笑)
ぜひ見かけたらすべてのひとに試してもらいたい!のですが、煙香むんむんのビールには変わりがないためダメなひとはやはりだめでしょう。
メルツェンを以前に飲んでみたけど合わなかったひとには、気に入ってもらえるチャンスがある!はず(笑)
※そもそもビールの種類や原材料についてよく分からない!というひとにおススメの記事
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【ビールの知識シリーズ①】ビールの種類は2つ覚えればOK!わかりやすく解説します!
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購入したリカーズハセガワと輸入元の昭和貿易について【シュレンケルラ】
参照画像:リカーズハセガワHPより
と突っ込まれそうなシュレンケルラですが、店頭販売している酒屋は多くないでしょう。
そこで管理人がビール調達でお世話になっている酒屋「リカーズハセガワ」に行くと置いてあったのですぐに購入(シュレンケルラの他ラインナップも取り扱っています)
注意ポイント
▶ シュレンケルラが置いてあるのは「北口店」
▶ 「本店」は市販ビールが無く、クラフトビールのみ
リカーズハセガワは東京に展開している洋酒に強い酒屋。
「有限会社八重洲長谷川酒食品」という形で1950年に創業した老舗の酒屋で、東京駅の八重洲口地下街に2店舗展開しています。
参照画像:リカーズハセガワHPより
リカーズハセガワの強みは「洋酒(ワイン・ウイスキー)」「海外クラフトビール」の種類が豊富ということでしょうか。
以前本サイトでご紹介したアメリカのクラフトブルワリー「EX-NOVO」のサボテンビールはここで入手しました👇
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【レビュー】アメリカ カクタスウィンズザロッタリー:味の特徴とこんなひとにオススメ!
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オンラインショップもあるのですが、残念ながら国内外のクラフトビールのみ通信販売している模様。
もう1つ解説したいのが、シュレンケルラブランドを輸入している会社について。
ビールの裏面を見ると「輸入元:昭和貿易」の印字が。
昭和貿易とは大阪西区江戸堀(南北線:肥後橋が最寄)に構える商社。
創業は1877年という大変歴史ある会社です。
売薬業から始まった昭和貿易は時代を経るにつれて薬を包む包材分野の販売に舵を切っていきます。
海外への輸出が始まる頃には、取扱い品目を大幅に増やし「貿易事業」という新たな分野でこれまでに無い食品・ヘルスケア・海外ブランドの輸入販売を手掛けることに。
参照画像:昭和貿易HPより
昭和貿易の貿易事業の中にある海外ブランド部門から、今回の「シュレンケルラ醸造所(ヘラー醸造所とも)」との取引によって輸入元になっています。
※ちなみに、昭和貿易のビールを自社オンラインショップで販売しているので、覗いてみてはいかがでしょうか?👇
醸造元-ドイツの地方都市「バンベルグ」へ
ドイツの地方都市「バンベルグ」と聴いて「ピンっ!」と来たら、かなりのドイツ通ですね。
バンベルグはドイツの中で中央部に位置する78,000人の地方都市。
ドイツでは貴重な世界大戦の戦火を免れた中世時代の建築物が多く残ることで知られています。
暗い歴史としては、バンベルクは11世紀から19世紀までの間、キリスト教カトリックの司教が統治する司教都市として管理されており
中世の魔女狩りにおいては苛烈な行為が行われていたという過去を持っています。
重厚な歴史を歩んできたバンベルクに訪れた際は以下の観光スポットを訪ねてみましょう👇
バンベルグの観光名所
■ 観光スポットには
【旧市街全域】
【バンベルク大聖堂】
【旧宮殿+新宮殿】
【旧市庁舎のフレスコ画】
【聖ミヒャエル修道院からの眺め】
■ グルメ巡り
【ラオホビアを飲む!】
日本からバンベルグへ向かう場合、ミュンヘンからニュルンベルクまで向かい
ニュルンベルクからバンベルグという順序になるでしょう。
TIPS:ドイツの基本情報
国名:ドイツ連邦共和国
首都:ベルリン
言語:ドイツ語
人口:約8,300万人(2019年)
宗教:キリスト教(カトリックとプロテスタント半々といわれる)
日本から直通便:フランクフルト、ミュンヘン、デュッセルドルフが結んでいる
通貨:ユーロ€(1€=平均120円前後)
日本との時差:8時間差(日本が12時なら独が明け方4時~)
14世紀にはすでにパブとして経営されていた歴史ある【シュレンケルラ醸造所】
いったい「いつから」創業していたのか。
ラオホビールを醸造し続けているシュレンケルラ醸造所が歴史上最初に登場したのは1387年と言われています。
当時の書物には建屋の特徴から「青いライオンの家」という記載で残っています。
ただ、現在の店舗兼醸造所は1618年に勃発した宗教戦争である「三十年戦争」に巻き込まれて損壊、再建したもの。
メモ
現在の醸造所名であるシュレンケルラは後年に呼ばれた名称
(※昭和貿易はヘラー醸造所として紹介している)
▶ 17世紀後半~ 【ブルーライオンブルワリー】
▶ 18世紀後半~ 【ヘラーブルワリー】
▶ 19世紀後半~現在【シュレンケルラ】
現在も当時のままで営業しているシュレンケルラは「ブリューパブ(Brew Pub)」に該当します。
(※ブルーパブ・ブルワリーパブとも)
参照画像:シュレンケルラ公式HPより
いわゆる「店内で醸造してそのまま供される」という形態の飲食店。
参照画像:シュレンケルラ公式HPより
店内奥では、創業時から変わらない燻製製法で仕込みをおこなっています。
(上記写真はブナの薪を燃料として火を焚き、麦芽を乾燥させています)
現代のような無煙醸造技術が出来る前までは、こうした木燃料による乾燥が主流でした。
シュレンケルラ醸造所曰く「中世のビールは、こうした薪の煙による麦芽の乾燥をおこなうため、スモーク香を纏うビールが一般的であった」と語られています。
参照画像:シュレンケルラ公式HPより
燻製乾燥された麦芽を使って麦汁を仕込んでいきます。
参照画像:シュレンケルラ公式HPより
仕込んだ麦汁はタンクで発酵し出来上がったら、オーク樽で樽詰めしていきます。
参照画像:シュレンケルラ公式HPより
こうして出来上がったビールはパブに運ばれ、訪れる人の舌を楽しませてくれます。
もしシュレンケルラ醸造所を訪れるのであれば、ビールだけでなく食事も併せて取りたいところ。
店内では何世紀も愛されてきた伝統メニューが頂けます👇
参照画像:シュレンケルラ公式HPより
人気なのが写真下段の「玉ねぎの肉詰め」👆
玉ねぎの中をくり抜いて豚にひき肉を詰め、オーブンでじっくり焼き上げた一品。
まとめると
<創業者>
・不明(1405年ではフリッツ・ヴァーンバッハ氏とされる)
<創業年>
▶ 1387年(公式文書では1405年が有力)には登場
▶ 17世紀後半~ 【ブルーライオンブルワリー】に
▶ 18世紀後半~ 【ヘラーブルワリー】に
▶ 19世紀後半~現在【シュレンケルラ】へ
ブランドとして数種類のラオホビールをリリース中!【シュレンケルラ】
シュレンケルラ醸造所といえば今回の「ヴァイツェン」以外にもたくさんのビアスタイルを提供しています。
シュレンケルラの他ラインナップもスモークキルンを用いた伝統製法で醸造されていますので、見つけたら1度は飲んでほしい!👇
シュレンケルラ ラインナップ
■ ラオホ メルツェン Rauchbier - Märzen (5.1%)
■ ラオホ アーボック Rauchbier Urbock (6.5%)
■ ドッペルボック Eiche Doppelbock (8.0%)
■ 他にもヴィンテージボトルなどたくさん・・・!
ヴィンテージボトルは伝統的な石造りの貯蔵庫で4年間寝かせたボトル。
熟成されたスモークビールがどのような味わいに変化しているのか非常に興味があります!
シュレンケルラ ラオホ ヴァイツェンのレビュー まとめ
こんな方におすすめ
- スモーク食品が大好きなひと
- 黒ビールの煙っぽさが好きなひと
- ビールをしっかり味わうことが出来るひと
こんなシチュエーションで
- 燻製食品といっしょに
- 深い歴史の味を堪能する気持ちで
同門のメルツェンよりもはるかに飲みやすい「シュレンケルラ ラオホ ヴァイツェン」
たまには日本の大衆ビールを離れて歴史ある伝統製法のスモークビールを味わってみてはいかがでしょうか?
至福の時間をぜひ。